Focusing on a subjectはまっている。今はどうやって脳が自分自身の能力を制御しているのか、というところに興味があります。例えば今、ものすごい力を出そう!と頑張ってみても、通常出せる力って実際に筋肉が出せる最大の仕事量よりもかなり低い。ただ、叫びながらとか、お酒を飲みながらとか、いろいろ文脈を変えながらこれをやると、発揮できる力が±30%ぐらい変わるといわれている。主観的には常にマックスのつもりでも、実は出せる力って文脈ですごく変わるんです。瞬時に筋肉が変化する訳がないから、脳が変化しているはずですよね。主観的には同じことをやっているんだから、意識に関係するシステムというよりは、潜在システムの方でブレーキをかけたり外したりしているはずで、それは脳のどこにあって、どうやったら変えられるのか、ぜひ知りたい。「今後やってみたいことはありますか?」岡田:私は、MRIの性能をどこまで突き詰めて向上できるかというところに興味があります。MRIってそれぞれメーカーさんによって撮像法、プログラムが違うんですよ。どのメーカーさんの装置でも同じように計測してやれる、一つのプラットフォームが出来たらいいと思っています。そうすることで、同じ方法でいろんな所で撮ったものが比較できる、ある意味、MRIを使った計測の標準化みたいなことができる。そういう撮像法というのも展開していければいいなと思っています。柴田:僕は高度な能力と潜在意識の関係を調べたいです。サッカーのメッシ選手は股抜きがすごく上手い。股抜きって結構難しくて、激しく動いている相手の動きを予測して、股が開くだろうという瞬間に、自分の僕らはユーザーとして、こういうのを撮りたい、できることならこんな風に攻めて、今までにない結果を出したい!というのがあって、それに対して「いや、これは無理です」というMRIの常識があるんですけど、岡田さんをはじめとするMRIを極めている人たち、パラメータの海の泳ぎ方を知っている人たちがRIKEN CBSには揃っていて、無理を言ってもなんとかしてくれる。岡田:確かに、RIKEN CBSに来て驚いたのは、PIからの要望がものすごく多岐にわたること。みんなの関心が違うから。でも、RIKEN CBSにずっといるスタッフはそれにちゃんと対応してきているので、すごく能力が高いんですよ。普通だとそんなものデータとして出ませんとか言って諦めるのを、彼らはやりきりますよね。ここまでやるんだ、と感心しました。MRIって頭の画像信号を出して撮ればいいだけではなくて、例えば脈拍とか、呼吸とか、目の動きをモニタリングするとか、刺激を与えるとか、いろんな情報をカバーしているんですよ。私が最初にRIKEN CBSへ来た時に驚いたのが、モニターの数。だーっと並んでいて。柴田:僕もあの数はここで初めて見ました。呼吸や心拍の影響を除くソフトウェアも技師さんが作って、おかげで信号がとてもきれい。これを日常的にやっている場所はなかなかないです。岡田:脳研究を行う上で研究基盤開発部門ができたのは、技術、基盤を作ってやらないと脳研究はしっかりできないという発想があったからなんですけど、その中で技師としてずっと積み重ねてきたものが、今のRIKEN CBSを支える形で生きているんだな、と思います。「柴田さんはどのような研究をしているのですか。」柴田:潜在意識に興味があります。なぜ脳という物質から意識が生まれるかということに興味を持っている人は多いんですけど、脳の情報処理のほとんどには意識が伴わない。体温をどうやって維持するかとか、家を出るときどっちの足から出るかとか、そんなの普通意識してないですよね。そういう基本的な機能もそうだし、高度な認知能力とか運動能力においてもかなりの部分で、意識が伴わない情報処理がないと上手くいかないことがいっぱいある。そういう、いろいろなことが自分の意識の外で起きているというコンセプトが好きで、潜在意識に20年位
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