CBS Magazine vol.6
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202312-3000きたジーンハンターたちの研究現場を伝える本です。疾患関連遺伝子を見つけると治療につながるメカニズム研究が進むなど良いことがある反面、まだ発症していない家族の遺伝子診断を推奨するのかなど難しい課題もある、ということを初めて認識しました。」小池 耕彦, Ph.D.理研CBS-トヨタ連携センター(BTCC) 個体間脳ダイナミクス連携ユニット ユニットリーダー「ソフィーの世界-哲学者からの不思議な手紙」ヨースタイン・ゴルデル 著、須田 朗 監修、池田 香代子 訳、NHK出版 2011年「機動戦士ガンダム-宇宙世紀vs.現代科学」伊藤 篤史、笠田 竜太、 金子 俊郎、福田 努、小池 耕彦、坂本 貴和子 著、マイナビ出版 2022年「文庫版 魍魎の匣」京極 夏彦 著、講談社文庫 1999年「京極夏彦先生の話は、どう見てもバラバラに起きているとしか思えない複数の事件が、少しずつ折り重なり相互作用し、最終的に一つの結末に向かうというところがとても好きです。また、文の端々からあふれ出る教養と知識がたまりません。分厚いので、読み疲れた時には枕にもなります。『魍魎の匣(はこ)』は、箱やその中身に、何らかの形で取り憑かれてしまった人たちのお話です。みんな幸せになりたいだけなのに、箱に導かれて転がるようにおかしな方向に向かってしまい、最終的には何が目的だったか分からなくなっているところは、実際の人生のようです。最後に、『幸せになるには人間をやめてしまえばよい』というような台詞が出てきます。研究をとおして、人間をやめずに幸せに(Well-beingに)なれる手掛かりが見つかればいいな、と思っています。」久保 郁, Ph.D.知覚運動統合機構研究チーム チームリーダー 「脳のなかの幽霊」V.S. ラマチャンドラン、 サンドラ・ブレイクスリー 著、 山下 篤子 訳、角川21世紀叢書 1999年「学部生の時に読んだんですけど、すごく印象に残っています。著者のラマチャンドラン先生は神経科医で、事故などで手を失ったのに、その失った手が痛むという人を治療するんですが、まずそういう現象があるんだということをすごく不思議に感じました。治療としては、残っている方の手を鏡に映して、あたかもなくなった手があるかのようにしてその手を動かしてみると痛みが軽減されるという話です。これって一種の錯覚で、脳の働きって面白いな、と思ったのと同時に、鏡を使ってみようと思いついたラマチャンドラン先生の発想に驚かされました。」「分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか-精神と物質」立花 隆、利根川 進 著、文春文庫 1993年「利根川進先生、京都大学理学部出身なんですよね。先輩でこんな人がいるんだという嬉しさと、京大理学部に入ってから生物をやろうか、化学をやろうかと悩まれた話など、その辺が自分の体験と重なるところがあって、僭越ながら自分の体験と照らし合わせながら読みました。そして力強さですよね。研究をやっていくんだ、研究はエキサイティングだというのをすごく感じて。これを読んで、やっぱり研究はかっこいい、研究者になろう!と思いました。」吉田 健祐, Ph.D.数理脳科学研究チーム 特別研究員 「結び目の数学-結び目理論への初等的入門」C.C.アダムス 著、金信 泰造 訳、培風館 1998年「もう絶版になってしまったのですが、僕がより高度な数学に興味を持ったきっかけともいえる本です。高校生の時に数学オリンピックの夏季セミナーというものがあって、そこでこの数学書を使ったのです。数学は今でも好きで、最近はどちらかというと応用数学に興味があります。」田中 元雅, Ph.D.タンパク質構造疾患研究チーム チームリーダー「遺伝子の狩人」J.E. ビショップ、 M. ウォルドホルツ 著、 牧野 賢治、秦 洋一、瀬尾 隆 訳、化学同人 1992年「ハンチントン病の研究に興味をもった大学院生の時に読みました。ヒトゲノムプロジェクトの先駆的役割を果たして研究者の本棚

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