202304-3000Hakwan Lau, Ph.D.チームリーダー 意識機構研究チーム「キッチン・コンフィデンシャル」アンソニー・ボーデイン 著、野中 邦子 訳、土曜社 2015年“The Autobiography of Bertrand Russell”, Bertrand Russell, Routledge, 2000“The Kingkiller Chronicle Book 1&2”, Patrick Rothfuss, DAW, 2007&2011「キャッチ=22(上・下)」ジョセフ・ヘラー 著、飛田 茂雄 訳、ハヤカワepi文庫 2016年「オン・ザ・ロード」ジャック・ケルアック 著、青山 南 訳、河出文庫 2010年「自分に影響を与えた5冊の本を紹介しましたが、インタビューの流れから『キッチン・コンフィデンシャル』についてお話ししたいと思います。アンソニー・ボーデインはシェフであり、とても良い作家でした。数年前に亡くなっています。非常にプレッシャーがかかる競争の激しいニューヨークのレストランで、シェフとして働くことはどういうことかを書いたものです。2007年から私もニューヨークで生活していたので、よく理解できます。シェフとはクリエイティブな仕事だ、というようなきれいごとを書いたものではありません。そうではなくて、シェフの仕事というのは、何度も指を切ったり、高温の油でやけどをしたり、腐りかけの食材をいかに腐る前にお客さんに出すか考えたり、残り物を使うメニューを工夫したりすることなのです。遅くまで働いてお酒を飲む、無茶な日常が沢山書いてあります。歯切れが良くて面白く、知的な文章です。ただ、全くアカデミックではありません。時には下品なくらいです。私はなんとなくこの本に共感しました。読後、話し方も変えました。博士号を取得し、27歳でニューヨークのコロンビア大学の助教授になり、教養のある人のような話し方をしようと必死でした。でも、自分はそもそもそういう人間じゃない。両親も兄弟も教養があるとは言えない。イギリスでは、オックスフォードの学生のように独特のアクセントで話すことを覚えましたが、この本を読んで、話し方なんて重要なことじゃないし、そんなことはどうでもいいや、と思いました。話す内容が面白ければ、自分らしくかつ知的な印象を他人に与えられる。本当に自分を変えてくれた、読んでいてとても楽しい本です。」藤原 輝史, Ph.D.理研白眉チームリーダー 適応運動制御理研白眉研究チーム「徳川家康」(全26巻)山岡 荘八 著、講談社 1987-1988年「将軍と家臣との熱い主従関係が印象的で心に残っています。研究においても、一番重要なのは人間関係。ポルトガルでも、先生方や同僚に本当に親切に助けてもらいました。そういうことが研究で重要な発見をするよりさらに嬉しいことです。実際の人間関係もそうですし、歴史小説などの本をつうじてその素晴らしさを知るっていうのも大事かなと思います。でも最近はTwitterでいろいろな論文の情報を見つけて、『あ、これも面白そう、こっちも面白そう』と読んでいると結局夜中になっちゃって、なかなか本を読む時間がありません。」■ アンケートにご協力ください“CBS MAGAZINE _×_BRAIN” Vol. 5を手に取っていただき、ありがとうございます。下記QRコードよりアンケートにご回答いただいた方(先着50名様)に、RIKEN CBSオリジナル「ポーチ」を送付いたします。皆さまのご意見・ご感想をお待ちしております。*2023年9月30日締め切り。おひとり様1回まで。*RIKEN関係者はご遠慮ください。研究者の本棚
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